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もうちょっとの心

今、元シャープの社長(現会長)の町田氏が書かれた
オンリーワンは創意である」という本を読んでいる。
この町田氏は、AQUOSや亀山モデルという液晶テレビを
世界有数のブランドに育て上げた人で、社長になった際に、
世界のテレビを全て液晶に変えるという壮大なビジョンを立て、
それを見事に実現した。

その町田氏の座右の銘が「もうちょっとの心」だそうだ。
彼は入社式で必ず次のような話をする。
「優秀な君たちは、今は同じレベルにあるが、五年目くらいから差がつき始めて、
十年後には決定的な差が出ます。この差はなんでしょうか。
先頭に立つ人間というのは、必ず他人よりもほんのわずかずつでも
継続して頑張ったからなのです。」
ライバル会社も、隣の部門も、同期で入社した同僚も、
誰もが同じように努力を重ね、同じように頑張っている。
その中で現状に満足しない気持ち、すなわち「もうちょっとの心」をもって
事にあたれば成果が差となってあらわれてくる。
会社は、社員一人一人の「もうちょっとの心」で進化してゆくものだ。
人間とは弱いもので、見られていなければつい怠けてしまう。
しかし、誰もがぎりぎりのところで勝負をしている中、
見えないところで少しでも手を抜けば、絶対に負ける。
ちょっとした努力の差が勝敗を決める。

会社は常に進化して行かなければならず、これで良いと思った瞬間に
衰退の道に進んでしまう。少しづつでも背伸びをしながら伸びてゆかなければならない。
会社経営にとっても、この「もうちょっとの心」は非常に大切だと思う。

ちなみに、町田氏には二つの座右の銘があり、
もう一つは「好奇心こそエネルギー」という言葉だ。
好奇心があれば、柔軟な頭であらゆることに興味が持て、
限りない探究心と情熱を持ちつつ仕事に取り組むことができる。
彼は社員に向かっていつも、「多能工になれ」と言っている。
そして、「I型人間ではなく、T型人間になれ」と説いている。
自分の得意分野や、興味のあることだけを追求するのが「I型人間」。
専門分野を極めることはもちろん、それに加えて、
幅広い知識やスキルがみについたのが「T型人間」だ。
さまざまな分野の技術を融合させなければ、独創的な製品はできない。
シャープの社員には、どんな場面にでも対応できる能力が要求される。
この「T型人間」になるためにも、好奇心が必要なのだ。
また、リーダーに要求される大切な資質は、
予見力」「構想力」「実行力」の三つで、中でも最も重要な資質が「予見力」だと彼は言う。
先を読む力がないと、事業化する「構想」は生まれないし、「実行」に移すこともできない。
好奇心は「T型人間」を作り、やがて「予見力」が備わってくる。
人間をT型にして、アンテナを張り巡らせていなければ「予見」は不可能だ。

この二つの座右の銘は結局同じことを言っているように思う。
「もうちょっとの心」が無ければ「T型人間」になれないし、好奇心が無ければ、
「もうちょっとの心」も生まれてこない。 

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