- 2010年5月 8日 03:28
- 会社経営
手を動かさないということ
簡単そうに見えて、これが結構難しい。
特に、なんらかの技術を持った人には厄介だ。
ついつい、人にやってもらうより、
自分で手を動かす方が、
楽であったり、充実感があったりする。
人はどうも頭を使って汗をかくより、
体を使って汗をかくのが好きなようだ。
人は年齢や立場によって、その役割が変わってくる。
若いうちや平社員の頃は、
とにかく体を使って作業していれば、それで済んだ。
しかし、部下が出来たり、扱う案件が大きくなると、
その人個人の能力よりもチームや組織全体のバフォーマンスをもとめられ
る。
ところが、優秀なエンジニアやクリエイターに限って、
この壁が乗り越えられない人がおおい。
部下に仕事を任せる際に、
仕事の目的とか趣旨を説明しないで部分的に仕事を指示するアシスタント
的な人の使い方をするか、
それとも無責任に仕事をふってしまい、
あたかも自分の仕事ではなかったの如く部下に任せっきりにしてしまう人
が多い。
また、こうした人は仕事は教えるものではなく盗むもので、
自分から部下に歩み寄らず、
やる気のある奴は黙っていても食いついてくると思っている。
確かに、職人気質のある親方肌の人にはそういうやり方でも
チームは作れるかもしれない。
ただし、そうした人には並み外れた技術力とともに、
自分を慕う部下には公私を超えた深い愛情を持ち、
どんなことがあっても部下を守るという強固な信念が必要だ。
残念ながら、そうした人には滅多にお目にかからないし、
たとえ、そうした人がいても、
今の若者がそうしたやり方に付いてゆけるかどうか甚だ疑問だ。
自分だと簡単にできることでも、
人にやってもらうようにするには結構難しい。
ただ、一方でよほど特殊なことでない限り、
自分が出来ることは他人でも出来ることが多い。
また、その人しか出来ない仕事は非常にリスクの高い仕事だと言える。
会社のような組織としては、
そうしたリスクの高い仕事を
いかに少なくするかが重要な課題となる。
自然、組織の中で重要な立場になればなるほど、
自分しか出来ない仕事を減らしてゆかなければならないことになる。
また、年月を重ねることが修行となる職人の世界を除けば、
ほとんどの技術者やクリエイターはいずれは下からの突き上げにあう。
すなわち、若い人の方が新しい技術や新鮮なセンスを
持っており、いつまでもトップでいられなくなる。
そうした面からも、自ら手を動かすことなく指示する立場やチームを作る
立場に成らざるを得ない。
そうした現実があるにも関わらず、何故自ら手を動かしてしまう人が多い
のか?
その理由のほとんどは、手を動かすことの居心地の良さと、
手を動かさないことに対する不安や恐れなのではないかと思う。
手を動かす人は、結果がダイレクトに返ってくるのですぐに、その人の評
価に繋がる。
また、体を使うので達成感が得られ、
仕事をやり遂げたという充実感も高い。
言い換えれば、自分の存在感を感じることが出来る。
一方で、自分で手を動かさず、
仕事の段取りを考えたり、指示を出すことは、間接的な評価しか得られ
ず、体が疲れる訳ではないので、個人の充実感は低いだろう。
また、部下の失敗は自分の失敗になるので、
自分ではどうにも出来ないことに対して責任を持つことは恐い。
その人が優秀であればある程、失敗を恐れる気持は強いだろう。
きっと、その人自身には失敗経験があまりないであろうから。
先述した部下への仕事の任せ方が無器用な点の原因もここにあるのだろ
う。
失敗するのが怖いので、重要なことは全て自分で行い、
部下には部分的なことしか任せない。
逆に重要な部分まで全てを任せた仕事は、
自分の仕事ではなく部下の仕事だと割り切ってしまう。
ある種の自己防衛本能の現れかもしれない。
ステップアップするには、
大きな勇気と強い意思が必要だ。
得るものはなかなか得られず、
失うものが多いかもしれない。
でも、ずっと今の立場に留まっていられないならば、
勇気を出して一歩踏み出すしかないのではないか。
ぎりぎりまで粘って、人に背中を押された時には、
時すでに遅く、何処にも居場所がないといった事態にならないように、
少しづつでも意識を変えたいものだ。
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