CMSと基幹システムとの連動

CMSは単なるホームページ作成管理ツールではなく、基幹システムや業務システムなどのフロント部分を担うウェブサイトを構築し、バックヤードのシステムと連携することによりお客さまのビジネスをより効率的、効果的に進化させることができます。

CMSと基幹システムとの連携

基幹システムや業務システム(いわゆるERP ※1)のフロント機能としてウェブシステムが使用されていますが、近年そのウェブシステムのベースとしてCMS(※2)を利用するケースが増えています。 このことは、ネット回線の高速化、サーバスペックの向上などインフラの進化により、CMSがリッチなコンテンツや大量のデータをスムーズに取り扱うことができるようになったこと。CMS自体が高度化し、プラグイン等が豊富になり、様々な処理を行うことができるようになったこと。さらには、API(※3)等の技術が汎用化され、システム間のデータのやり取りが簡易になったことなどの背景があります。

従来は、基幹システムと同じプラットフォームを使ってフロント部分を開発していたため、多額の費用と工数がかかっていましたが、CMSをフロント部分に使い、基幹システムと連携させることにより、開発費用と工数の大幅な削減を実現できています。

しかし、この連携を可能にするには、ウェブシステムと基幹システム両方のプラットフォームやそれぞれのインフラ環境を理解する必要があります。特にウェブシステムと基幹システムではその開発手法も大きく異なる(例えば、アジャイル型開発(※4)とウォーターフォール型開発(※5)など)ので、プロジェクト管理の方法はもとより、エンジニア同士のコミュニケーションにも困難が発生する場合もあります。当社には、この二つの分野それぞれに精通したエンジニアが存在し、かつデザイン部門も充実しています。また、基幹システムと連携するウェブシステム開発実績も豊富ですので、基幹システムを担当されているシステム会社(SIer(※6)等)とも、スムーズに開発が出来ます。

※1
ERP:Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、日本語では、統合基幹業務システム、基幹システムといいます。
※2
CMS:Contents Management Systemの略で、 web制作に必要な専門的な知識が無くても、ウェブサイトやコンテンツを構築・管理・更新できるシステムのことを言います。
※3
API:Application Programming Interfaceの略で、アプリケーション・ソフトウェアを構築および統合するために使われるツール、定義、プロトコルです。
※4
アジャイル型開発とは:「俊敏な」「すばやい」という意味の英単語で、要求仕様の変更などに対して、機敏かつ柔軟に対応するためのソフトウェア開発手法です。アジャイルでは、仕様や設計の変更があることを前提に開発を進めていき、徐々にすり合わせや検証を重ねていくというアプローチをとります。引用(コトバンク)
※5
ウォーターフォール型開発とは:要求仕様を満たす詳細な設計を行ったうえで、プログラミング開発や試験工程に移行するウォーターフォールモデルと呼ばれる手法です。
※6
Sier:System Integratorの略称で、顧客(クライアント)の要望に応じて、ソフトウェアの設計や運用、コンサルティングに至るまで様々な仕事を請け負う会社のことです。主に基幹システムや業務システムなど大規模なシステム開発を行います。

事例① ウェブからの予約データを基幹システムへ連携

某観光バス会社さまでは、ウェブシステムと基幹システムを連携させるツールとして、ウェブ側システムにCMSを導入されています。既にCMSを導入されていましたが、基幹システムのリニューアルのタイミングに合わせて、ウェブ側CMSの見直しも同時に検討されていました。そこで、当社から現状の課題をヒアリングさせて頂き当社CMSチームでの検討の後、 最適と判断したConcrete CMSへの入替をご提案させて頂きました。

このことにより、開発コストを削減(開発スピードとOSS(※1)による費用対効果)する事に成功し、同時に、Concrete CMSの最大の特徴である「直感的な操作」によって、お客さまご自身でのウェブサイト運用と運用作業の効率化を実現する事ができました。次のような方法で「基幹システムから連携 → ウェブでの受注 → 受注情報を基幹システムに連携」と一気通貫で連携できるシステムを構築しています。

  • 基幹システムでツアーデータを作成
  • ウェブ側のデータベースとリアルタイム連携
  • 連携データからウェブ側のツアーページを自動生成
  • 自動生成されたウェブページを任意にお客様が編集/公開(ウェブ側からのツアー予約を受付)
  • ウェブ予約時にAPI経由で基幹システムに在庫確認
  • ウェブ側で予約受付
  • 予約情報を基幹システムにAPI連携
OSS:Open Source Softwareの略で、作成者がソースコードを無償で公開していて、利用や改変、再配布が自由に許可されているソフトウェアのことです。

事例② 受注データを基幹システムへ連携、請求データをウェブへ連携

某大手研修事業会社さまでは、ウェブからの受注(研修コースへの申込データ)を、基幹システムへ連携。基幹システムからの請求データをウェブへ連携することにより、顧客に対し請求情報や入金情報、研修履歴などをフィードバックしています。このウェブ側のシステムを当社で担当、CMSをベースに連携部分の開発を行いました。

当初は、基幹システムのプラットフォームに合わせ、JAVAでフルスクラッチで開発しましたが、リニューアルのタイミングで、CMSとPHPを中心とするLAMP環境に変更、大幅な開発コスト削減を実現しています。

事例③ ナレッジサイトを通じ、社内外のデータの共有化を実現

某大手教育会社さまでは、CMSを使ってナレッジシステムを構築しています。もともとこのナレッジシステムはLotus Notesを使った社内イントラシステムでしたが、ナレッジデータをフランチャイズである学習塾(社外)にも共有する必要が生じ、ウェブシステムにリニューアルされました。課題であったのは、社内の複雑なワークフロー(承認機能)をどうウェブで実現するか、情報の発信元である部署が変更になった場合、その情報をすべてのナレッジデータに如何に反映するかという点でした。

当初はこれらの機能要件をすべて満たすために、スクラッチにてナレッジシステムを構築しましたが、試行錯誤の上、現在ではCMSをベースに運用されています。基幹システムの部署マスタ、社員マスタをCMSに取り込み、逆にCMSで作成したナレッジデータを基幹システムにフィードバックし、社内の印刷物などに活用されています。

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